良質な睡眠をとるにはどうすればいいのか。スタンフォード大学医学部の西野精治教授は「睡眠は脳をクールダウンさせるものなので、物理的に頭を冷やすことが大切だ。通気性が悪くて熱がこもるような枕は、避けたほうがいい」という――。

※本稿は、西野精治『スタンフォード大学西野教授が教える 間違いだらけの睡眠常識』(PHP文庫)の一部を再編集したものです。

快適なベッド
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気温が上がってくると寝苦しいワケ

室温も、体温をコントロールする大事な要素のひとつです。

真夏の暑い時期に寝苦しいのは、気温が高いために深部体温も下がりにくいからです。

高齢者のなかには「エアコンは身体によくない」といってエアコンをつけて寝ることを嫌がる人がいますが、高齢になるほど体温が下がりにくいので、暑苦しくて眠れない状態をよりいっそう感じやすくなります。

ひと晩中つけておかなくても、寝るしばらく前からエアコンをつけて室温を下げておき、1~2時間後に切れるようにタイマーをセットしておくと眠りやすくなります。

寒い季節には、朝、起きにくいと感じることが増えます。これは、室温の低さで深部体温の上昇が阻害されてしまうからです。

改善する簡単な方法としては、起きる1時間くらい前に暖房が入るようにタイマーをセットして部屋を暖めておく。深部体温が上がるのを室温がサポートしてくれるので、起きやすくなります。

季節によって入眠・起床ルーティンを整える

こういった室温管理は、心筋梗塞や脳出血などの発症も抑えてくれる可能性があります。というのは、血管性の病変は、深部体温のいちばん低い明け方の3時ごろによく発症することが報告されているからです。

これらを踏まえて、季節によって入眠・起床ルーティンを整えるといいでしょう。

室温は、一般に夏場なら24~26℃、冬場なら22~23℃くらいが快適だといわれていますが、湿度や外気温との差によっても、体感温度は変わります。

自分は室温何度くらいがもっとも快適さを感じるかは、知っておいたほうがいいと思います。

体温も大事な生体リズムのひとつ。体温調節という視点をもつことで、睡眠はよりよいものになります。

体温を下がりやすくして、すんなりと眠りに入れるようにすることは、寝入りばな、最初のノンレム睡眠を最高のものにするため、脳をすみやかにクールダウンさせるための重要な条件といえそうです。