車の性能を高める方法は何か。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「燃費をコンマ1高めるために、エンジンだけで実現しようとすると、非常に大きな労力と開発費がかかる。しかし、乗り心地と静粛性を少々我慢するだけで、簡単に燃費を高めることが可能な部品がある」という――。

※本稿は、鈴木ケンイチ『自動車ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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タイヤ・メーカー同士の飲み会はご法度

3万もあるクルマの部品の中で、特別な存在となるのがタイヤです。タイヤは、寸法さえ合致すれば、どのクルマにも装着することができます。非常に汎用性の高い部品なのです。

また、材料をはじめ製法なども特殊なため、タイヤは専門メーカーが作るものとなっています。

その結果、タイヤのメーカーは系列サプライヤーとは一線を画した存在となり、複数の自動車メーカーにタイヤを供給しています。

実のところ、大昔、ブリヂストンがプリンス自動車(後に日産自動車と合弁する)の経営に携わっていたことがありました。しかし、そうなると、逆にプリンス自動車以外との付き合いが難しくなるため、経営から離れたという経緯もあります。

そして、そんなタイヤのメーカーには、他にはない、変わった業界ルールが存在します。

それが、競合他社とのお付き合いの制限です。「別のタイヤ・メーカーの人間と飲みに行くなんてダメ」と言われているのです。

これは、公正取引委員会対策のためのルールと言えるでしょう。