健康を保つにはどんなことに気を付ければいいのか。心臓血管外科医の渡邊剛さんは「血管の老化に注意したほうがいい。血管はどこよりも早く老化が始まるが、外見からは判断できず日常生活に影響が出にくいため、老化に気づかないことがある。ボロボロになった血管を放置していると、突然死するおそれもある」という――。(第1回)
※本稿は、渡邊剛(著)、坂本昌也(監修)『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
「血管」はどこよりも早く老い始める
人間は血管から老いる、といわれます。しかし、血管の老化を自覚している人はほとんどいません。
髪に白いものが混じったり、顔のしわが目立ったり、近くのものが見えづらかったり、ちょっと体を動かすと疲れたり、人の名前を覚えられなかったりなどといった老化を実感させるサインが、血管にはないからです。それでも血管は、私たちの体のあらゆる器官や臓器がそうであるように、加齢とともに誰でも衰えます。
私の血管も60年以上使い続けてきたものですから、ピカピカの血管というわけではありません。あなたの血管も、年齢相応にへたってきていることでしょう。ただし、同じ60代でも、とても60代には見えないほど若々しい人もいれば、70代、80代に見える人もいるように、血管も年齢より元気な血管もあれば、年齢以上にボロボロな血管もあります。
私の病院に心臓の手術を受けに訪れる患者さんの多くは血管がかなりやられています。その違いはいったいどこにあるのでしょうか?
血管もアンチエイジングが可能なのでしょうか?
それを、これから詳しく話していくことにしましょう。ここで事前にお断りしておきたいのは、アンチエイジングとは若返ることではなく、老化をゆるやかにするということです。ゆるやかにすることで、いつまでも健康な血管を維持することができます。