高齢者の交通事故を減らすには、どうしたらいいか。精神科医の和田秀樹さんは「高齢者の事故は正常な意識のときに起きたものではないのにテレビでは『免許の返納』が言われ、製薬会社に忖度して絶対に薬のせいだと言わない。高齢者にほとんど薬を使わないスウェーデンと日本とを比較した場合、男性に関しては、2024年の時点で平均寿命は抜かれている」という――。

※本稿は、和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

高齢になったら免許返納ではなく薬をやめさせる

老後というと、漠然とした不安を抱えている人が圧倒的に多いと思います。その最大の原因は、老後不安を煽るマスコミのネガティブキャンペーンです。

たとえば高齢者がたった1件交通事故を起こしたら、それを取り上げて、「やっぱり高齢者の運転は危ない」、「免許証を早く返上すべきだ」とコメンテーターたちが口をそろえて言い立てる。

はっきり言えば、高齢者が事故を起こす原因の多くは、薬の副作用だと私は思っています。普段、安全運転している人が、その日に限って信号を二つも飛ばして暴走したというケースがありますが、そのとき意識がもうろうとしていたとしか考えられない。

正常な意識のときに起こした事故ではないのに、テレビは製薬会社に忖度そんたくして絶対に薬のせいだと言わないわけです。

本当は、交通事故を減らしたいのなら、高齢になったら免許を返納させるのではなくて、薬をやめたほうがいいと、私は考えています。

横断歩道と交差点の車
写真=iStock.com/terex
※写真はイメージです

高齢者にほとんど薬を使わないスウェーデンと日本とを比較した場合、男性に関しては、2024年の時点で平均寿命は抜かれてしまったのですから。