相手に伝わるコミュニケーションはどのようなものか。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「ある学説によると、人はまとまった情報を渡されたとき、全体の25%しか受け取れないのだそう。つまり単純計算では、4回言ってやっと100%になる。そのため1度目の会話を土台にして2度目、3度目といった連続性の中で相手の理解度を高めていく必要がある」という――。

※本稿は、林健太郎『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

コーヒーブレイク
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部下の「ミスの報告」は業務改善のチャンス

チームがまとまるリーダーは相手の目線で事情を聞き、
バラバラのリーダーは上から目線で責める。

職場における「聞く」の効用の中で、最も重要なものは2つあります。

1つ目は「自律性が高まる」という、部下側のメリットです。

「話していいんだ」という心理的安全性が高まると、部下は疑問点を正直に話します。疑問がひとつ解けるごとに、ひとつ成長するわけです。アイデアや提案も安心して発することができるので、自発性や能動性も備わります。

2つ目は「情報が集まる」という、リーダー側のメリットです。

部下の現状・課題・可能性・独自の視点。情報は多いほどありがたいものです。

ただし中には、嬉しくない情報もあります。典型例が「ミスの報告」です。

しかしこれも、長い目で見ればメリットになると考えてください。隠されてダメージが広がるよりずっといいですし、再発防止策を備えて共有すれば、業務全体の改善も図れます。

それには、最初の報告を聞いたあと、「さらに聞く」ことが必要となってきます。

そんな場面での残念な対応例がこちら。

「えっ、納期に間に合わない? ○○って指示したよね、そのほうが速いから。なのに△△でやったの? 勝手なやり方をするから失敗するんだよ」

こんな風に「聞く&話す」を混在させると「責める」になります。