幸せな結婚をするためには、どうすればいいのか。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「ある日、ほとんど恋愛経験のない53歳の男性が訪れた。第一印象は実年齢よりも上のように感じ、厳しい婚活になることが想像できた。だが、彼はあっと言う間に結婚が決まった」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている。

海辺の結婚式
写真=iStock.com/ozgurcankaya
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独身貴族の中年男性(53)が訪れた

「結婚したくなかったわけではない」
「どうしても結婚したいとも思っていない」

令和の時代には、こうした男女が実に多いのである。

仕事もある。友達もいる。趣味もある。生きていく上に不都合は何もない。仕事もそれなりに充実しているし、お金にも不自由はない。周りの仲間の多くは、確かに結婚適齢期と言われる時期に結婚し、家庭を持った。たくさんの結婚披露宴に招待され、祝福してきた。だけど、「次は自分の番だ」という熱い思いも、取り立てて起こることはなく、普段の暮らしの中で、胸がときめくような恋愛もなかった。

昭和の時代なら、結婚適齢期という年齢を超えると、周りからのプレッシャーみたいなものも少なからずあったかもしれない。だが、今は令和の時代。男女雇用機会均等法により女性たちも男性と同じく働き、立派に稼げるようになった。独身を恥ずかしいとか、結婚していないあるいはできないことを、気に留める人も少なくなっている。

「独身貴族」とはよく言ったもので、時間もお金も気持ちも自由に使えるシングルライフは快適で、「おひとりさま」という言葉が市民権を得た。温泉宿やレストランなど、ひとりでも堂々と出かけられる場所も数知れず。なにをわざわざいまさら「結婚」を考える必要があるのだろうか。そんな令和の時代には、独身があふれている。

私の相談所を訪れたのは53歳の初婚の男性。中堅の大学卒で、大手メーカー勤務。身長は180cmと高く、年収は550万円。彼もまた、生涯未婚であるだろうという人生を過ごしてきた。だが、50歳を超えてきて、残りの人生を1人で過ごすより、パートナーのいる暮らしを楽しめたらという思いがふと浮かんだのだという。そんな彼が、私との出会いで、人生の激変を経験することになる。