無印良品の古着は…
実は自社リユース品を販売するという取り組みは国内低価格ブランドの中ではユニクロよりも無印良品のほうが先に手掛けています。無印良品は2015年から「ReMUJI(リ・ムジ)」というプロジェクトを始めています。
公式サイトによると、現在の店舗数は34店舗となっています。10年間で34店舗ですから、1年平均で3~4店舗の出店が続いて来た計算になります。
この「リ・ムジ」は着用できる服は紺・黒に染め直して販売し、着用できない服(汚れ・破れ・ニオイが酷い物)は再生原料にすると公表されています。15年のスタート当初は紺色のみの染め直しだったと記憶していますが、後年に黒も追加されたようです。
このリ・ムジも無料で回収した自社中古品ですから仕入金額はかかりませんが、それ以外の工程でコストが発生するのはユニクロとまったく同じです。ユニクロよりは幾分店頭販売価格は高くはあるものの、同じ低価格ブランドに位置する無印良品もリ・ムジの店頭販売価格設定に苦労していると考えられます。
そのため、無印良品でさえ1年間で平均3店舗出店できるのが関の山といえるほどの収益性なのだと解釈できます。また染め直して店頭に並べても、コンスタントに売れるとは限りません。私も含めて古着に興味のない消費者は多くいます。売れなければその分在庫を抱えることになりますので、収益性はさらに圧迫されます。
ですから、リ・ムジの推移を見ているとユニクロも今後10年間で30店舗前後の出店ができれば御の字というのが現実的なペースだと考えられます。

ブランド品の古着は売りやすい
同じ古着ビジネスでも、ある程度の高価格で販売できるのがファッション需要向けのブランド古着やビンテージ古着です。ただ、こちらも新品分野の有名ブランドに比べると小規模です。ティンパンアレイという企業が展開する「ラグタグ」あたりが最大手ではないかと思いますが、こちらは2018年に買収されワールド傘下になりました。
公式サイトによると、年商規模は20年3月期で53億2479万円、24年2月期で約59億3977万円とあります。コロナ禍の売上高減少も経験したと思われますが、それを差し引いても約4年間で6億円の増収です。新品ビジネスに比べると拡大速度は遅いといえ、それだけブランド古着も新品ブランド品に比べると売れにくいことがわかります。
ただ、ユニクロなどの低価格帯の古着と違い、ブランド古着は先に述べた洗濯やアイロンがけなどのコストは店頭販売価格で回収できます。何せ、元のブランド品の価格が高額ですから、その半額くらいに設定したとしても消費者からは「安い」とみなされるのです。例えば定価1万5000円のブランド服が古着で8000円くらいに下がっていれば「安い」と消費者には感じられます。