元値1990円の古着に2000円は付けられない
これらを合算して利益を確保するとなると、ユニクロといえども個人的には店頭販売価格を平均3000円くらいにしなくてはならないのではないかと想像します。「じゃあ3000円で販売すればよいのではないか」と考える人も多いでしょうが、ユニクロの商品を一律に3000円で販売するのは難しいのです。
理由は、ユニクロでは新品の定価が3000円未満の物も多く存在するからです。Tシャツだと値引きなしの定価はだいたい1990円です。値下げ処分品Tシャツなら990~1290円で買えます。新品を1990円で買えるのに、いくら染め直しているからといって、わざわざ3000円を払って買う人がどれほどいるでしょうか。
そのため、染め直し品だとしてもある程度安く売らねばならないのです。番組内でも「店頭販売価格2000円」に設定しようとして、その商品の元値が1990円だったことが発覚し行き詰まるというシーンが出てきます。
こだわりを求める人は「高くても買うべきだ」と思われるでしょうが、消費者全員の意識が高いわけでは決してありません。価格合理性に逆らってまで買いたいという人のほうが少数派です。そのため、ユニクロといえどもリユース品販売では収益化に苦労し、3店舗目を開設してから半年間も出店が止まったままになっているといえます。
筆者としては、このコスト面を解決するには相当頭をひねる必要があり、今後の全国展開の速度は相当ゆっくりしたものになると見ています。
古着特有の「雑然とした感じ」がユニクロと合わない
新品服にはない古着ビジネスの難しさはさまざまありますが、その中から一つ挙げるとすると店頭に並べるための商品が揃いにくいことがあります。新品ビジネスであれば、決まった型数と枚数を仕入れるなり、SPA方式で製造するなりが可能ですが、古着は毎回どんな物が仕入れられるのか、枚数も型数もわかりません。
また新品のように同じ型がサイズ違いで複数枚揃うということも難しいため、店頭の陳列は雑多で粗雑に見えやすくなります。それこそが古着店の魅力の一つでもありますが、気に入った商品を探すのが面倒と感じる消費者もいます。また「雑然とした店頭が当社にはふさわしくない」とユニクロは判断したと先のテレビ放送でも伝えられており、ここもユニクロがリユース店を急速に拡大できない点だといえます。