「若さ」を保つことは本当に必要なのか。化粧文化に詳しい駒沢女子大学の石田かおり教授は、「今は誰もが同じような外見を目指して、すぐに効果が出る『ファストビューティー』が求められている。だが、同じ外見の人はいない。人それぞれ・年それぞれの美しさを考えるべきではないか」と指摘する――。
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本当に人生のピークは「高校生」なのか

通勤電車の中ですぐ後ろから「人生のピークが終わったなあ」という会話が聞こえてきたことがある。卒業式帰りの男子高校生だった。またアルバイト先で女子大生が女子高生にオバサン扱いされて傷ついた話を聞いたことがある。いずれも高校生ということに高い価値があり、高校生でなくなることで価値が下がるという考え方が見られる。

現代社会で強力な人間の価値の1つに「若さ」がある。若々しい状態でいることや若々しく見せることを実行するアンチエイジングは多種多様な情報と手段が次々と現れては消えながら大市場を形成し、景気の良し悪しに関わりなく市場は拡大の一途だ。この文章を読んでいるあなたも、何かしらアンチエイジングを気に掛けながら生きているのではないか。