推薦文依頼の連絡にまさかの…
【黒川】サヘルさんとお会いするのはこれが初めてですが、里親さんに共通の知人がいますよね。何人かの里親さんからよく、サヘルさんが支援活動をされていることを、うかがっていました。
【サヘル】はい。黒川さんをよく知る里親さんの1人から、『誕生日を知らない女の子』を勧められて、読みました。とてもいい本だと感激して、今でもラジオ番組などで機会があるたびに、お勧めの一冊として紹介させていただいています。今回、その続編である『母と娘。それでも生きることにした』の帯に推薦文を書いてほしいというお話をいただいたときには、まさかの……でした。ご縁を感じました。
【黒川】ええっ? そうだったんですね。私の本を紹介してくださっていたことは、全然知りませんでした。今回も、すごく熱いオビ文を寄せていただきまして、ありがとうございます。
【サヘル】原稿の段階で送っていただいて、読み始めたらもう止まらなかったんです。本当に止まらない。新幹線の行き帰りでも、自分でも信じられないくらいずっと読んで、1日で一気に読み終わってしまいました。ページをめくる手も止まらないけれど、涙も止まらない。私のマネージャーにも「これ、絶対読んだ方がいい。すごい本」ってすぐに薦めました。母の沙織さんと娘の夢ちゃんの、ここまでのことをさらけ出す勇気にも感動しました。この本がお互いの文通になったらいいなあって、そう思いました。
【黒川】サヘルさんからいただいた帯文には、泣きたくなるくらいの言葉が連なっていて、編集部から送られて読んだときに、胸を打たれました。本当にありがとうございます。最後に「痛いほど『母』を探した」って結んでいますけど、この場合の母というのは、何を示しているんでしょうか。
サヘルさんのオビ文 全文
349ページを1日で読み上げた。
ページをめくる手が止まらない。
涙が、止まらない。
幾つもの『母』と『娘』が存在するが、なぜだろ、憎めない。
それどころか、痛いほど両者と共鳴してしまう。
痛いほどつきささる。
痛いほど愛しい一冊。
痛いほど『母』を探した。
【サヘル】自分が思う母ってなんだったんだろうなっていう……。この本の中のお母さんたちの苦しみもすごい感じたし。読み終わったときに思ったのは、結局、私はお母さんっていうものを探しているんだということ。でも、このお母さんって、何に対して言っているだろうと。例えば、もっと穏やかに生きてみたい。もっと安心感が欲しい。頑張らなくていい瞬間が欲しい……。それが、もしかしたら自分の中にあるお母さんっていうものなのかなとか。
【黒川】いろいろな意味での「母」なんですね。母と子の関係って何なのか、ということですね。