1966年に静岡県で一家4人が殺された強盗殺人事件で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(82)の即時抗告審で、東京高裁は6月11日、静岡地裁の決定を取り消し、再審開始を認めない決定をした。弁護側は高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告する方針だ。「袴田事件」を追い続けるジャーナリストの山本徹美氏は「高裁決定は間違っている。証拠とされる『5点の衣類』は明らかに捏造されたものだ」と指摘する――。

DNA型鑑定についての審理

「袴田事件」の再審に向け、開きかけた重い扉が閉ざされてしまった。

写真=iStock.com/imaginima

静岡地裁の再審決定に対し、検察側の即時抗告によって、東京高裁にもちこまれた審理は4年間にもおよび、その結果、地裁決定は取り消されたのである。